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フルサイズとAPS-Cの違いって何?プロカメラマンが解説

どうもこんにちは!AIに仕事を取られたのかただ単に世間から忘れられたのかどちらにせよ暇になったプロカメラマン、ひげおです。

「フルサイズとAPS-Cって何が違うの?」

カメラを買おうとすると必ずぶつかるこの疑問。ネットで調べると「フルサイズの方が高画質」「初心者はAPS-Cで十分」みたいな話がいっぱい出てきますけど、実際どのくらい違うのかは作例で見ないとピンとこないかと思います。

僕はNikon D200(APS-C)でプロの現場に入って、今はSony α7シリーズ(フルサイズ)をメインで使ってます。両方で20年以上撮ってきたので、スペック表の比較じゃなくて「撮ってみてどう違うのか」を作例つきでお話しします。

最後にスマホ(iPhoneとXiaomi 14 Ultra)との比較もちょっとだけ。

そもそもセンサーサイズって何?

カメラの中には「イメージセンサー」っていう光を受け取る部品が入ってます。フィルムカメラで言うとフィルムです。

このセンサーのサイズがカメラによって違っていて、大きく分けるとこんな感じです。

センサーサイズの比較

  • フルサイズ(36×24mm)← フィルム時代の35mmフィルムと同じ大きさ
  • APS-C(約23.5×15.6mm)← フルサイズの約1.5倍クロップ
  • 1インチ(13.2×8.8mm)← 高級コンデジやXiaomi 14 Ultraなど
  • スマホセンサー(数mm程度)← iPhoneなど一般的なスマホ

この他にも中判サイズなどもありますが最初のカメラで選ぶ人はまずいないと思うので割愛します。

フルサイズとAPS-Cのセンサーサイズ比較とそれぞれの特徴

「フルサイズ」って名前がついてるのは、フィルム時代の35mmフィルムと同じサイズだからです。つまりフルサイズが「特別に大きい」んじゃなくて、フィルムの時は全部このサイズでした。デジタルになって、コストや技術の問題で小さいセンサーが先に普及したっていうのが実情です。

センサーが大きいと何がいいかというと、光をたくさん取り込めるのでボケやすくなるし、暗いところにも強くなるし、明暗差の表現も豊かになります。このあたりは後で作例で見せます。

ちなみに「画素数が多い=高画質」と思ってる方が多いですけど、それは間違いです。画質を決めるのはセンサーサイズとレンズの性能が大きくて、画素数はそこまで関係ありません。この話は別の記事で詳しく書いてるので、気になる方はそちらもどうぞ。

デジタル一眼の歴史 ― 最初はみんなAPS-Cだった

ここはちょっと歴史の話になりますけど、知っておくと「APS-C=初心者向け」っていう誤解が解けます。

デジタル一眼が登場した2000年代初頭、フルサイズセンサーを量産する技術はまだ確立されていませんでした。だからNikonの最初のデジタル一眼レフD1X(2001年)もAPS-Cです。

もっと言うと、当時のNikonのフラッグシップ機D2X(2004年)もAPS-C。フラッグシップなのにです。プロが報道やスポーツの最前線で使う最上位機がAPS-Cだったんです。「APS-C=入門機」なんていう図式は、最近の話でしかありません。

Nikonで初めてフルサイズセンサーを積んだのはD3(2007年)で、当時の価格は50万円超え。一般の人が買えるようなものじゃなかったです。

そこから少しずつフルサイズの価格が下がって、今では10万円台のエントリーフルサイズミラーレスが買えるようになりました。時代は変わりましたね。

僕のカメラ遍歴 ― D200からα7シリーズへ

僕がプロとしてのキャリアをスタートした時、手元にあったのはNikon D200でした。APS-Cです。

アシスタントの給料でフルサイズなんて買えるわけもなく、D200を持って現場に出て、空き時間に自分の作品を撮る日々。この記事を書くにあたり当時のD200の作品など見返しましたが、あの頃が一番気合い入れて撮ってましたね。若さなのか。なんなのか。

ドイツ・ローテンブルクのクリスマスマーケット(Nikon D200で撮影)
ローテンブルクのクリスマスマーケット。D200で撮影。

海外に行く時もD200は持っていきました。ドイツのローテンブルクで撮ったクリスマスマーケットの写真は、今見ても好きな一枚です。APS-Cだからどうこうっていう話じゃなくて、その場の空気をどう切り取るかを考えればAPS-Cのハンデなど無いに等しいです。

富士山と星空(Nikon D200で撮影)
富士山と星空。D200で撮影。APS-Cでもここまで撮れる。
ちなみに富士山が帽子を被ると次の日は雨。だそうで本当に翌日土砂降りでした。

富士山の星空もD200です。APS-Cでこんな感じなのは撮れます。

APS-Cのクロップファクターが武器になった話

D200時代にラグビーの撮影をよくやってました。ここでAPS-Cのメリットを実感しました。

ラグビー選手の後ろ姿(Nikon D200で撮影)
D200+200mmレンズで撮影。APS-Cだと300mm相当の画角になる。

APS-Cはセンサーがフルサイズより小さい分、レンズの画角が1.5倍に「クロップ」されます。200mmのレンズを付ければ、フルサイズ換算で300mm相当。高価な超望遠レンズを買わなくても、望遠側に有利になるわけです。

全てのレンズの数値を1.5倍した数値がAPS-Cでのレンズのミリ数です。24mmを装着したら36mmを着けてる画角になりますし。50mmを装着したらAPS-Cでは75mmのレンズを着けてる。と言うことになります。

これはハンデにもなりますが、スポーツや野鳥を撮る人にとって逆に結構なアドバンテージです。

その後、Sony α7シリーズに移行してフルサイズの世界に入りました。ボケの深さ、暗所での安心感、ダイナミックレンジの広さ。フルサイズの恩恵は間違いなくあります。でも「フルサイズにしたから写真がうまくなった」かと聞かれたら、全くそんなことはないと思います。

フルサイズとAPS-Cの違い ― 作例で比較

スペック表の数字を並べても実感が湧かないと思うので、僕が実際に撮った写真で違いを見せていきます。

① ボケ量の違い

フルサイズの一番わかりやすいメリットがこれ。センサーが大きい分、同じレンズ・同じF値でも背景のボケが大きくなります。

草の上のライチョウ(Sony α7シリーズで撮影・フルサイズ)
ライチョウ。フルサイズで撮影。背景がとろけるようにボケている。
岩の上のライチョウ(Sony α7シリーズで撮影・フルサイズ)
同じくライチョウ。被写体が浮き上がるような立体感。

この背景のボケ方は、APS-Cだとなかなか出せません。ハンデの部分ですね。特に広角〜標準域でのボケ量の差は歴然です。望遠を使えばAPS-Cでもボケますけど、広角側で被写体を浮かび上がらせたいならフルサイズの方が圧倒的に有利です。

つららと落ち葉のマクロ撮影(フルサイズ)
マクロ撮影でも被写界深度の浅さがフルサイズの特徴。

② 高感度耐性(暗所での強さ)

センサーが大きいと、1画素あたりの受光面積が広くなります。つまり少ない光でもしっかり情報を拾えるので、ISO感度を上げた時のノイズが少ない。これはつまり夜景や室内撮影で有利になるポイントです。

東京タワーの夜景(Sony α7シリーズで撮影・フルサイズ)
東京タワー夜景。高ISOでもノイズが目立たず、ビルのディテールもしっかり出ている。
山から見た夜景(フルサイズ)
山の上から撮った街の灯り。暗所でもディテールが残っている。

もちろんAPS-Cでも夜景は撮れます。さっきの富士山と星空はD200で撮ったものですし。ただ、拡大してみるとノイズの量が全然違います。暗い場所で手持ちで撮りたい場面が多い人ほど、フルサイズの恩恵は感じやすいです。シビアな環境でも耐えれるのがフルサイズ。

③ ダイナミックレンジ(明暗差の表現力)

ダイナミックレンジというのは、明るいところから暗いところまでどれだけ広い幅を1枚の写真に収められるかっていう性能です。夕焼けや逆光の場面で差が出ます。

雲海と夕焼け(フルサイズ)
雲海と夕焼け。空のグラデーションから山の陰影まで、一枚の中に幅広い階調が収まっている。
河川敷の夕焼けと橋のシルエット(フルサイズ)
河川敷の夕焼け。橋のシルエットと空のグラデーションの両方が破綻なく表現できている。
ススキと夕陽の海(フルサイズ)
逆光のススキ。太陽に向かって撮っても前景のディテールが潰れていない。

APS-Cだと夕焼けの空に露出を合わせると手前が真っ黒になったり、逆に手前に合わせると空が白く飛んだりしがちです。フルサイズはその幅が広いので、RAW現像で持ち上げても粘ってくれます。

④ 広角の画角

さっきクロップファクターの話をしましたけど、これは望遠では有利に働く一方で、広角側ではデメリットになります。APS-Cだと16mmのレンズを付けても24mm相当の画角にしかならないので、フルサイズに比べて「広さ」が出しにくい。

秋の稜線と紅葉(フルサイズ)
広角で撮った秋の稜線。山の広がりをそのまま切り取れるのがフルサイズの広角。
菜の花と青空(フルサイズ)
菜の花畑。青空を大きく入れた構図。

風景写真で「もっと広く撮りたい」と感じることが多い人は、フルサイズの方がストレスなく撮れます。

結局、APS-Cはダメなの? ― そんなことはない

ここまでフルサイズの良いところばかり書きましたけど、じゃあAPS-Cがダメかって言うと全くそんなことはありません。

APS-Cのメリット

  • 望遠が1.5倍伸びる(スポーツ・野鳥に強い)
  • ボディが軽い・小さい → 旅カメラとして最強
  • 価格が安い → 浮いた予算でいいレンズが買える
  • 例えばSony Eマウントならフルサイズとレンズ共有可能
上海の路地裏(Nikon D200で撮影)
上海の路地裏。D200で撮影。こういう写真はセンサーサイズ関係なく、タイミングと構図の勝負。

上海で撮った路地裏の写真。D200です。こういうスナップはフルサイズだろうがAPS-Cだろうが関係ない。その場の空気を読んでシャッターを切れるかどうかだけの話です。

沖縄の夕焼け(Nikon D200で撮影)
沖縄の夕焼け。D200でも十分きれいに撮れている。

さっきも書きましたけど、僕はD200時代の方が気合い入れて撮ってました。機材が制約になる分、工夫しました。構図を考え、光を読む、タイミングを待つ。そういう基本的なことの方が、センサーサイズよりずっと写真のクオリティに影響すると思ってます。

「フルサイズにすれば写真がうまくなる」なんてことは絶対にないです。

ちなみにスマホはどうなの?

タイトルには入れてませんけど、「そもそもスマホじゃダメなの?」って思ってる方も多いと思うので、少しだけ触れておきます。

僕はiPhoneとXiaomi 14 Ultraの両方を持ってます。Xiaomi 14 Ultraは1インチセンサー搭載のカメラ特化スマホで、普通のスマホとは一線を画す画質です。

夜景で比べてみる

一番差が出やすい夜景で比べてみます。

同じ「夜景」でもセンサーサイズが違うとこのくらい差が出ます。iPhoneは頑張ってるけどノイズが多くてディテールが甘い。Xiaomi 14 Ultraは1インチセンサーのおかげでiPhoneよりは良いけど、フルサイズと比べるとやっぱり粒子感があります。

フルサイズのドゥカティの写真は光芒がきれいに出て、空の階調もなめらか。バイクのディテールもしっかり残ってます。

※ちなみにこのバイクについてはもう一つのブログTME Chroniclesの方で使用しています。気になる方はそちらもどうぞ。

ボケの違い

iPhoneのポートレートモードは計算処理でボケを作ってるので、よく見ると境界が不自然だったりします。フルサイズのボケはレンズの光学的な特性で生まれるものなので、溶け方がなめらかです。

Xiaomiの夜は正直つらい

Xiaomi 14 Ultraは1インチセンサーなので昼間はかなり良い写真が撮れるんですけど、夜になるとちょっと弱いかなと思います。一眼レフのカメラと比べるとです。使ってて感じるのは、夜間はノイズリダクションが効いてるのかノイズが結構目立ちます。

1インチセンサーは「普通のスマホよりは全然いいけど、カメラには追いつけない」っていう位置づけです。昼間の旅行スナップやSNS用の写真ならスマホで十分ですが、作品として残したい写真を撮るなら、やっぱりカメラの方がいいと思います。

Xiaomi14ULTRAの作例はこちら

結局どっちを買えばいい?

初めてカメラを買うんですけど、やっぱりフルサイズにした方がいいんでしょうか?

こういう質問をよく受けるんですけど、僕の答えは「最初はAPS-Cでも十分」です。

理由はシンプルで、カメラを始めたばかりの段階ではフルサイズとAPS-Cの差を体感できないからです。ボケ量、高感度耐性、ダイナミックレンジ。こういった差は、ある程度撮り慣れて「もっとこうしたい」っていう不満が出てきた時に初めて意味を持ちます。

まずはAPS-Cで撮ることに慣れて、「夜の撮影でノイズが気になる」「もっと背景をボカしたい」「風景をもっと広く撮りたい」っていう具体的な不満が出てきたら、その時にフルサイズへのステップアップを考えればいいと思います。ボディで金を使うよりレンズを揃えたほうがいいです。

Sony Eマウントを選んでおけば、APS-C(α6000シリーズ)からフルサイズ(α7シリーズ)に移行する時にレンズがそのまま使えるので、無駄になりません。

もちろん予算がある方はフルサイズをお薦めはします。。。

おすすめのAPS-Cミラーレス

Fujifilm(Xマウント) — APS-Cに本気のメーカー

X-S20 — 小型軽量で万能、フィルムシミュレーションが人気

X-T5 — クラシカルなダイヤル操作、4020万画素

Nikon(Zマウント)

Z50II — 2024年発売、Expeed 7搭載でAF性能が大幅向上

Z30 — Vlog向けエントリー、軽くて安い

Sony(Eマウント)

α6400 — コスパ最強の定番

α6700 — APS-C最上位、AI AFと4K120p

Canon(RF-Sマウント)

EOS R10 — 被写体検出AF搭載のバランス型ミドルクラス

EOS R50 V — 電動ズームキットでコンパクトなVlogセットが組める。写真も普通に撮れるCanon APS-Cの入門機。

おすすめのフルサイズミラーレス

Canon

EOS R8 Mark II — 2026年10月発売のフルサイズエントリー。前モデルになかったボディ内手ブレ補正とマルチコントローラーを搭載。

Nikon

Z5IIC — EVFを省いて小型軽量化したフルサイズ。α7CIIの対抗馬で、ボディ約23.9万円。

Sony

α7CII — コンパクトなフルサイズ。軽さ重視で旅カメラとしても優秀、ボディ約514g。

α7IV — 写真も動画もバランスよくこなすスタンダード機。フルサイズ入門の定番。

どのカメラを選んでも「何を撮りたいか」で最適なものは変わってきます。用途別の選び方はこちらの記事で詳しく解説してるので参考にしてみてください。具体的なミラーレスの選び方はミラーレス入門の記事にもまとめてあります。

買う前に試したいならレンタルもあり

「いきなり買うのは不安」っていう方には、カメラのサブスクレンタルもおすすめです。月額制で好きなカメラやレンズを借りて試せるので、買って後悔するリスクがなくなります。

【GOOPASS】買って失敗する前にまず試してみる



まとめ

氷瀑(フルサイズ)
氷瀑。こういう写真を撮りたくなった時が、フルサイズに手を伸ばすタイミングかもしれない。

フルサイズとAPS-Cの違いは確かにあります。ボケ、高感度、ダイナミックレンジ、広角の画角。フルサイズが有利な場面は多いです。

でも、フルサイズが偉いわけじゃありません。D2Xっていうフラッグシップ機がAPS-Cだった時代があったように、センサーサイズだけでカメラの価値は決まらない。大事なのは、どんなカメラでも撮り続けることかと思います。

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